上手な教え方の教科書 ~ 入門インストラクショナルデザイン
ここしばらく更新をさぼっておりました。
僕は現在では大学も卒業し、教師業でほそぼそと暮らしております。
さて、そんな人に教える私にとって目からウロコの本を見つけましたので、
ここに読んだ感想を書きます。
その本の名前は
上手な教え方の教科書 ~ 入門インストラクショナルデザイン
(向後千春著、技術評論社、2015)
です。
本の副題にも書いてあるとおり、これはインストラクションデザイン(Instruction Design: ID)についての本です。
IDとは、一言で説明すると「教えることを科学する」という学問分野です。
IDの大事なことは「教師や予備校講師のように教育産業にたずさわっていない人でも、
日常的に人に教えるという行為をしている」という立場をとっていることです。
たとえば
①新入社員に伝票処理の方法を覚えさせる
②子供の宿題を手伝う
③仕事の部下に取引先での礼儀を身につけさせる
これらは皆、教えるという行為に入るのです。
この本では、ストーリをマンガでつないでいるので、ただ文章を徹頭徹尾読むよりもメリハリがついています。
また、章末には確認問題が解答付きで掲載されており、内容理解の手助けになります。
参考文献もついており、申し分のない構成となっています。
この本の中で私が特に大事だと思う内容は
教える内容に応じて、インストラクション(教えること)を3つに分類する
ということです。
つまり、運動技能のインストラクション、認知技能のインストラクション、態度のインストラクションに分類して、それぞれについてく詳しく述べられています。
運動技能のインストラクションとは、「自転車に乗る」「テニスのサーブを打つ」等のスポーツ能力だけでなく、「お風呂あがりにストレッチをする」「学校から帰ってきたら、遊ぶ前に宿題を済ませる」等の習慣形成も指しています。
認知技能のインストラクションとは、いわゆる「学校でする勉強」のことをさしています。すなわち、「数学の計算問題を解く」「英作文を書く」ことが例として挙げられます。
最後の態度のインストラクションは、文字通り「大きな声であいさつをする」「落ちているゴミを拾ってゴミ箱に捨てる」ことを意味します。
これらのインストラクションに分類し、それぞれに対してどのような理論が考えられているのかが説明されています。
今まで「教えること」を一緒くたに考えていましたが、
その内容に応じて取り組み方を変えるという視点が私には新鮮でした。
このIDという考え方、他者に対してはもちろん、自分自身に対しても有効だと思います。
今後、わたしの実践したことについてもここで報告できたらいいなと考えています。